TIS、大林組による建設現場のデジタルツインを構築できる「デジタルツインアプリ」の開発を支援

2023.06.20
DX事例

TISインテックグループのTIS株式会社は、株式会社大林組の高性能PCや特別なスキルを必要とせずに、容易に建設現場のデジタルツイン※1を構築できる「デジタルツインアプリ」の開発を支援したことを発表しました。

背景

設計段階においてBIM/CIM※2の活用が進む一方で、施工段階での活用は未だ限定的です。特にデジタルツインを構築する現場の管理は、3次元モデルを扱える高性能PCの手配や、ソフトウェア操作に関する高度なスキルの習得が必要であり、加えてBIM/CIM、地形、点群などの静的データと、人や工事車両などの動的データを統合することには高度な技術が必要なことから、一部の建設現場で試験的に行われているのが実情です。

こうした業界全体に関わる課題を解決するべく、大林組は大学や企業との連携により、本アプリの企画・構築を実現しました。

TISは本アプリ開発において、大林組が東京大学と行った「データ・システム連携基盤」※3の共同研究をベースに「データ連携基盤の構築」を行ったほか、「多種類のデータ集約・座標変換ロジック」の考案と実装を担当しました。また、操作性や快適性を向上させるため、ユニティ・テ クノロジーズ・ジャパン株式会社はUnityが提供するアプリケーションのカスタマイズで大林組と連携をしています。

<デジタルツインアプリ画面イメージ>

※1 IoTなどを活用して現実空間の情報を取得し、サイバー空間内に現実空間の環境を再現する技術
※2 Building Information Modelingの略称。i-Construction のうち、「3Dモデルの建設生産プロセスでの流通」を実現する施策。建設現場において計画、調査、設計段階から3Dモデルを導入することで、その後の事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、業務の効率化・高度化を図る取り組み
※3 大林組と東京大学が開発し概念実証を完了した、施工管理で扱う各種データを相互利用することで施工管理業務の効率化を目指すシステム

https://www.obayashi.co.jp/news/detail/news20220825_1.html

 

デジタルツインアプリの特長

  1. 容易で快適な操作性:各種3次元モデルの登録と統合、全てにおいて直感的でシンプルな操作を実現するデザイン
  2. 場所を選ばずに現場を確認:ネットワーク経由でクラウド利用。動的情報もリアルタイム反映
  3. 安全指摘事項などの共有と保存:アノテーション(付箋)機能など
デジタルツインアプリの特長

 

TISの取り組みについて

クラウドネイティブアーキテクチャの採用によるデータ連携基盤の開発

開発にあたり、Amazon Web Services(AWS)やKubernetes※4の活用による、クラウドネイティブアーキテクチャでのアプローチを採用しました。クラウドの利点を最大限活用する手法での開発により、アプリケーションへの機能追加やアプリケーションのユーザー数増減といった要素に対して高い俊敏性・弾力性を持つデータ連携基盤を実現しています。

多種類のデータの正規化ロジックの考案と実装

現場で生成されるデータは様々な業務アプリで作成され、アプリやデータ毎に異なる座標系や各種属性を持っています。これらを同一アプリ上で3Dデータとして描画し、必要な属性を利用可能な状態にするには、業務アプリ毎の差異を吸収し、かつ各データが持つ座標情報をはじめとする各種属性情報の変換・統合を行うことが必要です。

TISは、「設計情報」「環境情報」「作業員情報」「重機・ロボ情報」について、以下の考案・実装を行いました。

・各種業務アプリや扱うデータ種類が追加となっても、容易に対応可能な柔軟性・拡張性・弾力性を持ったシステムアーキテクチャ
・異なる座標系を持つデータの座標統合をリアルタイムで実現するロジック

これにより、本アプリでの「多種類の3Dデータを同一座標系で統合し、リアルタイムに閲覧する機能」を実現しています。また、従来は手動で実施しなければならなかった位置補正を一括して自動的に実施する仕組みを実装したことにより、今後、3Dデータ活用の新たなアプリ開発を行いやすくする環境整備にも寄与しました。

※4 コンテナ化されたアプリケーションをデプロイ、スケール、管理できるオープンソースのコンテナオーケストレーションシステム

デジタルツインアプリ概要イメージ

 

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