はじめに

日本には約400万の企業が存在しており、そのうちの99%は中小企業が占めています。現在は、新型コロナウイルスの影響もあり、厳しい経営を強いられている企業が増加しているのは周知の事実です。

今回は、アフターコロナにおける中小企業の現状と課題および解決策について、それぞれ解説していきます。

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中小企業の定義と現状

中小企業の定義と現状

はじめに中小企業とはそもそもどういった企業を指すのか、また中小企業が現在どのような状況に置かれているのかをご説明します。

中小企業の定義

中小企業庁によると、中小企業は業種ごとや資本金、従業員の数によって以下の通りに分類されます。

業務分類 中小企業基本法の定義
製造業その他 資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社または常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
卸売業 資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
小売業 資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
サービス業 資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社または常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人

ただし上記はあくまでも行政府が掲げる原則であり、法律や制度によって中小企業とみなされるケースもあります。上記に当てはまっていないからといって、必ずしも大企業というわけではないため注意が必要です。

参考:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義

中小企業の動向

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの中小企業が厳しい状況下に置かれているのは事実ですが、倒産件数自体は低水準が続いています。政府による持続化給付金や金融支援によって当面の資金を確保できているのが要因のひとつですが、予断を許さない状況は続きます。

ただし、企業によってはこの状況を事業の転換点と捉え、社内の体制や事業方針の再確認、新製品の開発、新分野へ進出などを行うケースも見受けられます。不測の事態にも柔軟な対応ができている企業ほど、新型コロナウイルス感染拡大の影響を最小限に抑えることに成功しているのです。

中小企業が抱える課題とは

中小企業が抱える課題とは

これまで中小企業の課題として挙げられていた「人材不足」や「事業の継承者不足」に加え、昨今では「新しい働き方への対応」も迫られています。それぞれについて解説します。

新しい働き方への対応

現在はアフターコロナを迎え、テレワークやハイブリッドワークなど、大企業を中心にニューノーマルな働き方の導入が進んでいます。

テレワークを導入すれば働く場所が限定されないため、遠隔地の人材採用やオフィス維持費の削減が可能になるでしょう。また子育てや介護のために在宅を余儀なくされている従業員にとっても柔軟な働き方を実現でき、ワークライフバランスの向上に大きく貢献すると考えられます。

加えて、営業活動においても顧客への直接訪問がはばかられるため、オンライン営業を取り入れる企業も増えてきました。商談から契約までオンラインで完結する新しいスタンダードが生まれつつあるのです。

しかし、中小企業ではこうした取り組みがまだまだ定着しているとは言えません。総務省が発表した「令和元年通信利用動向調査」では、資本金の規模が大きくなるにつれテレワークの導入率が増えているのがわかります。中小企業では設備や制度を整えるリソースが不足していたり、そもそもテレワークに適した仕事がなかったりと、導入のための課題が多くあるのが現状です。

画像出典・参考:テレワークの導入状況 (総務省「令和元年通信利用動向調査」)

関連記事:モバイルワークとは?テレワークとの違いや導入のメリット、ポイントを解説

人材不足による生産性の低下

少子高齢化の影響で働き手は減少傾向にあります。ネームバリューや安定性、充実した福利厚生を求めて大企業への就職を検討する学生も依然として多く、中小企業において人材確保は喫緊の課題といえるでしょう。

慢性的な人材不足により、従業員一人当たりにかかる業務負荷が増え、長時間労働や休日出勤を行うことでさらに生産性が下がるといった悪循環が起きている企業も少なくありません。業務が属人化していたり、人材の教育体制が整っていなかったりする場合も多いため、大企業との差はますます拡大しています。

事業継承者不足

中小企業では人材不足もさることながら、事業継承者不足も課題の1つとして挙げられます。

経営者が高齢になりいざ事業継承者を見つけようとしても、前述の人材不足もありなかなか最適な人材を確保できない現状があります。事業継承者を育てるだけの資金や時間の確保が難しい点や、親族経営の場合はそもそもの継承者候補が少ない点などが要因です。

そのため、業績のいかんを問わず廃業を選択せざるを得ない企業も多く、長年蓄積されたノウハウや技術、顧客などの資源が失われています。

考えられる2つの解決案とは?

考えられる2つの解決案とは?

それでは、課題を抱える中小企業はどのような対策を講じるべきなのでしょうか。ここからは、具体的な解決策についてご説明します。

デジタル化の推進による事業継続力と競争力の強化

社内のデジタル化は業務効率化を大きく推進します。人の手で行っていた業務をデジタル化することで、当然ながらその分の工数や人件費を削減できるためです。従業員の工数を削減できれば、その分新しい事業にリソースを割くなど、未来に向けた取り組みも可能になります。

デジタル化の具体例として、社用携帯の導入および内線化や営業支援ツールの導入などが挙げられます。営業支援ツールを用いれば、これまで表計算ツールでまとめていた予算や商談の進捗状況、顧客リストなどの管理にかかっていた工数を大幅に削減可能です。また、情報共有もオンラインでスピーディに行えるため、案件のスピード感も向上するでしょう。

また、社用携帯の導入により、外出先でもメールやスケジュールのチェック、営業支援など各種ツールの閲覧もできるようになります。社内のデジタル化には初期投資こそ必要ですが、中長期的にみると生産性の向上、ひいては事業継続力や競争力の強化にもつながるのです。

ただし、ツールを導入すればすぐに生産性が向上するわけではありません。デジタル化を進めるにあたっては、企業全体でデジタル化に向かう意識の醸成や業務プロセスの見直しなど、組織改革が欠かせないでしょう。そのためには経営層が従業員へデジタル化への明確な方針を示し、自ら積極的に推進していくことが求められます。

事業継承やM&Aを通じた成長・発展

適切な事業継承者がいない場合は、M&Aを行い経営資源を有効活用することもひとつの手段です。親族へ事業を継承する場合は、相続税や贈与税が発生するため税金を負担する必要があり、社内継承の場合も株式を買い取るための資金を調達しなければなりません。

M&Aでは、大企業や競合他社といった第三者に事業を譲渡するので、こうした負担を軽減できるでしょう。ただしM&Aを行う前に企業の価値を高めておく必要があるため、社内のデジタル化を進めたり労働環境を整えたりといった、業務効率化や生産性の向上を実現しておくことが得策です。

ツール導入による課題解決事例

ツール導入による課題解決事例

最後にツールを導入し、課題の解決に成功した事例をご紹介します。

株式会社ジェイ・シー・エス

株式会社ジェイ・シー・エスはエステサロンなどに対し、クレジットカード決済や信販事務代行、集金代行を行っている企業です。

課題

ジェイ・シー・エスでは従来より業務の進捗管理をExcelで行っており、顧客情報も各人がノートに記載するなど情報の集約がなされていませんでした。そのため管理者側が業務の確認をするためには、従業員それぞれが作成した日報を確認する必要があったのです。顧客情報も個人がノートに記載していたため決まったフォーマットもなく、営業担当の記憶力に依存しているという問題もありました。情報が一元管理されていなかったことから、業務フローは自ずと煩雑になりミスやトラブルにつながっていたのです。

対策と効果

同社は2015年に統合型 CRMシステム「Salesforce」を導入しました。これまで属人化されていた顧客情報や業務の進捗状況を一元管理することで、結果的に20%の業務効率化に成功したのです。

加えて、顧客情報や営業実績などが集約されるため経営戦略へも反映しやすくなりました。さらに業務効率化によって、所定労働時間を8時間から6時間へ短縮することを目指すなど、未来への取り組みも視野にいれています。

事例詳細については、こちらをご覧ください。

株式会社三条害虫

株式会社三条害虫は新潟県内全域を対象に、害虫駆除・有害生物対策等(防鼠・防獣工事)を手掛ける企業です。 

課題

害虫駆除という業務柄スピードを要する要望が多い中で、営業メンバーと、内勤の事務メンバーとの情報共有に時間を要していました。 
また、年間防徐計画に基づき予防措置を定期的に行うための管理表はExcelで行っており、計画の組み立てに時間を要するなど、残業も増えがちでした。 

対策と効果

「Salesforce」を導入し、顧客情報や日報をすべてクラウド上で管理する体制に変更しました。情報が集約されたことで各担当が欲しい情報をすぐに探すことができ、資料探しにかかる月間40時間を削減しました。 

今後の展望

今後は、蓄積したデータを活用してお客様満足度の向上につなげていきたいです。 
さらに、年間の契約管理を人による管理ではなく契約期間でアラートを表示するなど、営業効率を上げることで、従業員の満足度向上にも活かしていきます。

 
事例詳細については、こちらをご覧ください。

様々な可能性を秘めた中小企業のデジタル化

中小企業の課題は、デジタル化を進めることで解決につながるケースも多々あります。初期投資や社内の風土を大きく変える必要があるため導入ハードルが高い一方で、デジタル化による業務効率化は中長期的な目線で見ると企業に大きな利益をもたらす可能性を秘めているのです。

コネクシオではモバイルを活用したソリューションを中心に、テレワークの推進や働き方改革などを支援しています。企業のデジタル化に関して課題に感じている部分について、まずはお気軽にご相談ください。

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