【法人】モバイル端末管理ツール MDM・台帳・資産管理の手法で解決できることを比較
企業の中には、モバイル端末管理に課題を抱えているにもかかわらず、その解決方法を決めかねているなどの悩みを抱えているケースがあります。

少数のモバイル端末なら手動で管理対応できるかもしれません。また一定の台数を超えると、MDMを導入しているケースもあるでしょう。しかし100台を超えると、MDMや資産管理ツールを利用してもカバーしきれない部分が出てきます。MDM等の導入を検討する際には、データだけでなく実機をきちんと管理する仕組みが重要です。

本記事では、モバイル端末(法人携帯、タブレット)の管理をするために知っておきたい管理方法について基本や実践的なノウハウを解説します。

この記事を読めば、MDM管理と実機管理をまとめてアウトソーシングするサービスの検討を進めることができるでしょう。

目次

モバイル端末の管理が重要である理由

モバイル端末の管理が重要である理由

モバイル端末の管理は、企業にとって重要です。IT資産の管理が不可欠となっている今、モバイル端末も管理を怠ればさまざまな問題が発生する可能性があります。
以下にその背景と、管理しない場合のリスクについて詳述します。

モバイルのIT資産管理/MDMが普及する背景

企業では業務をPC(パソコン)で行うことが一般的となり、併せて業務用のスマートフォンを始めとしたモバイル端末の利用も拡大しています。さまざまなデバイスを業務で使用する機会が増えており、その管理が複雑化したことが背景として挙げられます。

多種多様なPCやモバイル端末をエクセルなどで管理することは、情報の量や正確性、それに関連する管理者の負担の大きさなどから難しくなりがちです。例えば情報量では、メーカーやOSの違いだけでなく、利用しているアプリの違いや保管場所など様々な内容を管理しなければなりません。一人で複数の端末を保持することも珍しくありません。その情報を正確に管理するために、日々更新する管理者の業務負荷の大きさもイメージできると思います。加えて、情報漏洩などのセキュリティの観点も考慮する必要があるため、包括的な一元管理の手法が求められています。

近年では、PCやモバイル端末で利用できる業務効率化のためのツールやクラウドサービスも増加しており、この面からも管理費用増大、管理者不足も懸念事項として企業を悩ませています。そこで、遠隔でファイル・アプリの分配やライセンスの管理が行える仕組みにより、効率的な運用を実現するモバイルのIT資産管理/MDMが普及を始めています。

モバイル端末を管理しない場合のリスク

モバイル端末を管理しない場合、企業はどのようなリスクを抱えることになるのでしょうか。主に次の4点が挙げられます。
①紛失・盗難時の情報漏洩
②ウイルス感染の可能性
③従業員の私的利用
④不要なコストの発生

①紛失・盗難時の情報漏洩

モバイル端末は、管理を十分に行わないと紛失・盗難時の情報漏洩リスクが高まります。悪意のある第三者が端末を拾得した際に中身を閲覧する、ネット上に公開する等で、外部に情報が漏れるためです。特に企業の機密情報は、一度デジタルな情報で漏洩するとインターネット上から全てを消すことは困難なため、予防が非常に重要になります。また、産業スパイにより社員のモバイル端末が狙われるというケースも稀にあります。
このように、モバイル端末を持ち出す帰宅や外出時、来客時などのルールを取り決めておかなければなりません。

②ウイルス感染の可能性

盗難による情報漏洩だけでなくウイルス感染により、ハッカーや悪意ある第三者に情報が盗まれることもあります。ウイルス感染は、ウイルスソフトや端末管理の仕組みがなければ、個人で対策を講じるのが難しく、事前に対策を講じておくことが大切です。

ウイルスに感染する理由としては、怪しいWEBサイトやメールからデータをダウンロードしたり、外部デバイスとの接続によって知らないうちに感染したりしているケースがほとんどです。ウイルスをチェックする仕組みが端末やネットワークになければ、感染の事実を知ることもなく、会社のネットワークでも使用して他のパソコンや端末に感染してしまうのです。

③従業員の私的利用

モバイル端末の管理が不十分な場合に抱えるリスクとしては、従業員の私的利用も挙げられます。本来業務用に提供されている端末を私的に利用されると、通信費用なども会社に請求されますし、業務のみで使っているときよりもウイルス感染のリスクが高まります。私的利用は本人に悪意がないケースも多いため、厄介な面もあります。

④不要なコストの発生

管理が不足した状況下で端末の紛失や破損などが発生した場合、代替機の用意が無く、端末の買い替え・修理の緊急対応のため余計な経費が発生することがあります。慌てて管理しようとしても、現状を把握することがすでに困難になっており、体制や仕組みの構築にもよりコストがかかってしまったという事例もあります。
十分に管理していれば避けられる費用なだけに、企業にとっては無駄な出費となってしまいます。

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モバイル端末の管理の目的

モバイル端末を管理する目的として、以下の5つが挙げられます。

①モバイル端末の利用状況を把握

第一の目的は、モバイル端末の利用状況を把握することです。利用状況を押さえることで、どの社員がどの端末を使用しているのか、どこで使用・保管しているのかを把握することができます。そのため正確な状況を把握しておけば、その情報をもとにして適切な対応を取ることができます。

②アプリケーションを適切に管理

モバイル端末管理ではアプリケーションを適切に管理することも目的の1つです。会社の方針に合致しないアプリケーションのインストールを防止したり、必要なアプリケーションを一括で配布したりすることで、社員がセキュリティリスクの不明なアプリケーションを知らない間にインストールしてしまうことを防ぎながら、業務効率を向上させるために必要なツールを利用できるようになります。
前述したように、業務でのアプリケーションやクラウドサービスの利用も増加傾向のため、アプリの一括管理は重要な機能といえるでしょう。

③私的利用の防止

モバイル端末の一括管理は私的利用の防止にも役立ちます。会社は、社員が業務時間中に社内のモバイル端末を私的な目的で使用しないように、各端末のWi-Fiやプロファイルの設定を変更することで制限することができます。
これにより、私的利用で起こる端末紛失やセキュリティ上のリスクを軽減することにつながります。VPN設定のモバイル端末の管理環境を用意すれば、社内だけでなく、出張やテレワークにも対応しやすいでしょう。

④紛失・盗難時の対策

紛失や盗難時の対策もモバイル端末管理の重要な目的の1つです。社内外で、紛失や盗難が発生した場合に端末を位置情報で追跡したり、データを遠隔でロックしたりすることができるため、機密情報が外部に漏れるリスクを最小限に抑えることができます。

⑤セキュリティ対策

モバイル端末は持ち運びの機会が多いことから、紛失等のリスクが高いため、セキュリティ強化も重要になります。モバイル端末管理は、強固なパスワードポリシーの適用やデータの暗号化を強制することができ、また、ウイルス対策ソフトを導入すると、不正なアプリケーションやマルウェアの検出と排除も実行できます。ウイルス対策ソフトは常に最新の状態に保つことが重要で、各端末のアップデート状態を管理することもできます。以上により、ビジネスに関する重要な情報やユーザーの個人情報を保護することができます。

モバイル端末管理には上記に挙げたような目的やメリットがあります。これらを把握して、効果的なモバイル端末の利用とセキュリティを確保することが可能です。

モバイル端末管理に利用されるツール・手法

モバイル端末管理に利用されるツール・手法

モバイル端末管理にはさまざまなツール・手法が使われています。
業務にパソコンを使い始めた1990年代からIT資産管理が意識され始め、2000年代にはIT化の波で法人向けのパソコンと携帯が普及、2010年代にはスマホが急速に広まり、IT資産管理の重要性が高まりました。2020年代にはAIを活用したサービスが多く登場しており、スマホを始めとするモバイル端末からも手軽に利用できるようになってきています。

このような時代の変化から、従来エクセル等の台帳管理で充足していた企業でも、新たなモバイル端末管理のツール・手法を検討する時期に差し掛かっています。

モバイル端末管理の代表的なツール

ここでは、代表的なモバイル端末管理に利用されるツール・手法として代表的な以下の3つを見ていきましょう。

  • 台帳管理
  • IT資産管理ツール(パソコン)
  • MDM(モバイル)

台帳管理

台帳管理とは、社内で備品(モバイル端末など)と保管場所、利用者などを台帳に記録して管理する方法です。通常はエクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトが使われます。
適切に管理すれば、社内に何が何台あり、どこに保管されているのかが把握できますし、購入日も記入することで買い替え時期の把握にも利用できます。セキュリティに関する考慮は別途必要になりますが、普段利用している表計算ソフトを利用するため、導入コストや新たなスキル習得は最小限で済みます。

IT資産管理ツール(パソコン)

IT資産管理ツールは、主にパソコン端末(Windows・Mac)やその周辺機器の管理を対象とした管理ツールです。IT資産情報を自動で集め正確な状態を把握でき、ソフトウェアやファイルの配信・管理、リモート遠隔操作も実現できます。
オンプレミス型とクラウド型があり、前者は管理用のサーバーが必要で、後者はサブスクリプションとしてサービスを利用することになります。

MDM(モバイル)

Mobile Device Management(MDM)はモバイル端末を管理するための方法で、対象はAndroidやiPhone(iPad含む)など業務で使うスマートデバイスです。IT資産管理ツールと似た機能を備えていますが、モバイル端末向けにより特化しており、 アプリケーションの配信・制限、設定情報の適用、紛失時の遠隔操作によりロック機能などを利用できます。

管理台帳 IT資産管理ツール(パソコン) MDM(モバイル)
管理対象 パソコン、モバイルを含むIT資産など (表計算ソフトを利用するため制限なし) パソコンとその周辺機器 モバイル端末
主要機能 端末の一元管理、ソフトウェアの管理、ファイルの一括配信、リモート操作など 端末の一元管理、アプリケーション配信、リモートロック、リモートワイプ(データ消去)など
概要 ・表計算ソフトを利用して作成、運用
・セキュリティ面は別途検討が必要
・導入コストがやすい
・パソコンとその周辺機器を中心とした管理
・ソフトやファイルの管理が可能
・オンプレ型とクラウド型がある
・モバイル端末を中心とした管理
・デバイス管理機能、ソフトウェア管理機能はIT資産管理ツールと類似点が多い
・モバイルが主な対象のため、紛失対策の機能がある

モバイル端末の台帳管理のメリット・デメリット

ここではまず、MDMや資産管理ツールを導入していない企業で、台帳管理のみのケースを確認します。このケースでは管理するために以下の内容が必要になります。

1. 台帳作成・情報登録
2. 台帳の情報と照合できる管理ラベルの貼付
3. 運用ルールの策定
4. 関係者への周知
5. 定期的な棚卸

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モバイル端末には、一意に定めた管理番号を貼り付ける必要があります。管理台帳にはこの管理番号とともに以下のような項目を記載します。

  • 資産管理番号(自社で定めた番号)
  • デバイスの識別番号(機器にあらかじめ付与されている製造番号(IMEI) ・シリアル番号)
  • 機種名
  • 利用者名
  • 利用者社員番号
  • 利用者のアカウント情報
  • 台帳の更新履歴

他にも管理台帳に記載すべき項目は、利用者の所属組織、使用期間、財務上の科目、購入時の価格などがあります。項目が多くなりすぎるとメンテナンスが大変なため、自社の管理方針・運用内容に応じて項目を精査したほうが良いでしょう。

メリット

  • 導入の容易性
    エクセルやスプレッドシートを利用するため新たなソフトウェアの導入や教育などが不要。

  • 対象機器に制限がない
    表計算ソフトを利用するため、自社に合わせて管理対象や項目を自由に変更できる。

デメリット

  • 管理コストの増大
    管理対象の端末や項目が多くなると情報量が増えるため、管理業務の負荷が大きくなる。

  • 管理情報の陳腐化
    手動での管理のため、ルールが徹底されないと情報が最新化されない、複数の担当者が編集し台帳のバージョンが一元化できないなどの事象が発生する。これにより、正確な情報の管理が困難になりがちである。正確な情報が管理できなくなる。

IT資産管理ツールのメリット・デメリット

次にIT資産管理ツールを導入する場合の、台帳管理との比較をします。

メリット

  • リアルタイムで見える化ができる
    IT資産情報を自動収集しデータベース化するため、手動で行う台帳と比較して、正確な情報を維持しやすい。

  • 台帳の乱立や更新漏れを防ぐ
    複数拠点や複数担当の場合等、台帳の管理にムダ・ムラが発生することを防げる。

デメリット

  • 携帯電話の管理については対応が十分ではない。PC管理に特化したサービスが多い。
  • 自社に合わせた独自の管理事項は反映できない場合もある。

MDMのメリット・デメリット

さらに、MDMを利用する場合の、台帳管理・IT資産管理ツールとの比較をします。

メリット

  • モバイルデバイスに特化した機能がある。
    IT資産管理ツールと同様にリアルタイムで端末状況の見える化ができることに加えて、アプリのダウンロード制限、紛失・盗難時のロックやワイプなど、スマートフォンならではの管理機能を備えている。

デメリット

  • 管理の形骸化のおそれ
    人事異動、故障対応の代替機貸し出しへの対応漏れ等により、ツール(データ)と実機の対照にズレが発生し、管理が形骸化していくきっかけになることがある 。

  • 管理外デバイスの発生のおそれ
    各部署で独自に携帯を契約・解約してしまう等、管理しきれていない端末が発生することがある。

モバイル端末の管理を効率的に行うポイント

モバイル端末の管理は自社に合わせて効率的に実施されることが望ましいでしょう。管理項目・記載方法によっても管理コストは大きく変わってきます。
そこで、効率的かつスムーズな管理を実現するためには、次のようなポイントを確認しましょう。

  • 位置情報の管理
  • 人事異動への対応

位置情報の管理

モバイル端末がいまどの場所にあり、その情報がきちんと記録されていることが1つ目のポイントです。
その際、「企画部」なら「企画部 企画一課」のようにできるだけ細かく記載することで、使用者を特定しやすくすることも重要です。

ただし、詳細すぎる情報の記載は、管理上の手間が増大する危険性があるため、効率面と業務面の2つのバランスをどう取るか、予め基準を決めておきましょう。記載者による記載内容のブレを排除するため、選択式にしておくことも効果的です。

 

人事異動への対応

社内管理を効率化させる際に押さえておきたいポイントはもう一つあります。
それが人事異動による端末の移動時の情報更新についてです。人事異動は定期的に実施されるため、端末を一度返却した上で再度貸し出すのか、管理部署の変更だけで済ませるのかをあらかじめ決めておき、管理情報の更新に抜け漏れが起きないようにしましょう。

また、人事異動以外でも端末を利用する過程で利用者や利用目的が変わることもあります。こういった場合のルールも決めておくと良いでしょう。

モバイル運用管理アウトソーシングで解決できること

これまでモバイル端末管理の手法として、代表的な3つの方法を比較してきましたが、どの方法にもメリット・デメリットがあり、自社で導入するにはハードルがありそうだ、と感じた方もいたのではないでしょうか。
そこで、ここではモバイル運用管理アウトソーシングという第4の方法を紹介します。

モバイル運用管理アウトソーシングとは、企業がモバイル端末の運用管理業務を専門業者に外注することを指します。代行内容には、モバイル端末の選定、導入時のサポート、運用設計・社内方針の計画策定のサポート、コールセンター業務、修理・交換・キッティング対応、セキュリティソフトなどの導入補助や保守・点検などさまざまな業務があります。

ツールではなく、外注によるモバイル運用管理を行うメリットは、IT資産管理運用の専門知識を持つ人材が社内にいない場合に、管理ノウハウの提供や、保守・点検に関する技術者の知識やスキルを、社内運用に取り入れることが可能なことです。

一方で様々なサービスが用意されているため、費用にも幅があります。採用する場合は、自社に必要な内容の検討や予算面に留意する必要があるでしょう。

モバイル運用管理をアウトソーシングで専門業者に任せた場合の各手法との比較を行います。

モバイル運用管理アウトソーシングで解決できること

メリット

  • 台帳管理とツール管理のいいところ取りができる
    アウトソーシング業者の対応メニューにより異なりますが、当社のサービスを例に比較すると、ツールを利用しながら台帳も管理します。
    人事異動や故障への対応も随時反映するため、抜け漏れなく、データベース上の登録と、実機がどこにあり誰が利用しているかを正確に管理することが可能です。

  • 実機の管理も任せることができる
    ツールによるデータ管理だけでなく、会社で所有する携帯電話を全て業者に預けて、故障や新規入社などの際にすぐに設定済の端末を配備する等、広い意味で管理を丸ごと委託することができます。

  • 管理者の稼働を削減
    MDMの習得や操作に要する時間や、台帳管理にかかる時間が不要になるため、その時間を他の業務に充てることが可能です。

デメリット

  • 費用面の検討は必要
    自社で管理を行う場合と比較し、委託作業のコストは発生します。管理台数や委託内容により、コストメリットをシミュレーションすることが大切です。

モバイル端末の管理はツールやアウトソーシングを活用し安全に行う

従業員規模や利用するデバイスの台数によって、台帳で人的な管理をする場合には、上記のアドバイスを参考にし効率よく行いましょう。
一定の台数を超えると、MDMの導入は必須と言えるでしょう。
MDMについては詳細なコラムがございますので、こちらをご参照ください。

また、100台を超えると、MDMや資産管理ツールを利用してもカバーしきれない点が出てきます。
特に一斉の機種変更、OSアップデート、新しいアプリの導入などのイベントの際には、上述したMDM管理と実機管理を丸ごとアウトソーシングできるサービスの検討をお勧めします。

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