従業員が社用携帯を紛失!想定されるリスク・対応内容と紛失対策について徹底解説!

業務効率化やテレワークの普及に伴い、多くの企業が従業員に社用携帯(スマートフォン)を貸与しています。
しかし、社用携帯には、顧客に関するさまざまな個人情報や、企業にとって重要な機密情報が保存されているケースもあり、一個人が携帯を紛失した場合とは比較にならないほどの損失を企業に与える可能性もあります。
昨今では、社用携帯を紛失してしまった場合に備え、MDM(モバイルデバイス管理)を導入している企業も多いです。
そこで本記事では、紛失した際に想定されるリスクから、紛失発覚後にまず行うべき初動対応、社用携帯の紛失を防止し安全に管理する方法、などについて詳しく解説していきます。
携帯電話の紛失件数
警視庁が発表した「令和7年中(2025年)の遺失物取扱状況」によると、東京都内だけでも「携帯電話類」の紛失届(遺失届)は年間で22万5,236点に上り、1日平均で約610台もの携帯電話が日々紛失しています。
一方で、拾得物として警察に届けられた携帯電話類は14万4,381点、そのうち最終的に持ち主の元へ返還されたのは11万9,516点(返還率:約53%)となっています。
データが示す通り、紛失した携帯電話の約半数は手元に戻ってきません。また、運よく警察に届けられて戻ってくる場合であっても、手続きや特定に数日から数週間かかるケースがほとんどです。
企業の顧客情報や個人情報の詰まった社用携帯を紛失した場合でも、同様のことがいえるでしょう。
社用携帯の場合、手元に戻ってくるまでの時間にデータを盗み見られたり、悪用されたりする二次被害のリスクが極めて高いと言えます。
社用携帯の紛失時には、紛失が発覚した瞬間から情報漏えいの危機として初動対応を進める必要があります。
社用携帯を紛失する原因

社用携帯を紛失する原因には実にさまざまなものがあります。
ここでは、よくある4つの原因について詳しく解説していきます。
移動中・外出先での紛失
紛失の原因として多く挙げられるのが、移動中・外出先での紛失です。
「業務での移動中に、ズボンやかばんのポケットに社用携帯を入れていたが、いつの間にか落としていた」
「飲食店に入ったときやタクシーに乗っているときなど、かばんから書類を取り出した際に、社用携帯が一緒に落ちてしまった」
などがよくあるパターンです。
このような事態は、外回りで外出することが多い営業職の方などには注意が必要です。
使用後の置き忘れ
この使用後の置き忘れも紛失の原因として多く見られます。
「電車やタクシー、バスに乗車中、座席に社用携帯を置いたことを忘れたまま降りてしまった」
「外出先で飲食店に入った際に、テーブルの上に社用携帯を置いて食事をし、そのまま置き忘れて店を出てしまった」
などが挙げられます。
これ以外にも、外出先で公衆トイレなどに入った際の置き忘れなども原因として多く見られます。
盗難被害
「社用携帯を入れたかばんを外出先で置き忘れ、気づいて戻ってみたところ、誰かに持ち去られてしまった」
「トイレに行くためにテーブルに社用携帯を置いたまま席を離れてしまい、戻ったらなくなっていた」
というケースもあります。
このような盗難被害も社用携帯紛失の原因としてよく見られます。
泥酔などにより記憶が欠乏している状況
これは社用携帯の紛失としてあってはならないことですが、泥酔による紛失も原因として挙げられます。
「帰宅途中で立ち寄った居酒屋で、飲酒中に業務スケジュールなどを確認するために社用携帯を出したところ、テーブルに置きっぱなしにして退店した」
「酔っていて、ポケットやかばんから社用携帯が落ちてしまったことに全く気がつかなかった」などがあります。
こういった場合、泥酔していたことから記憶も不明瞭で、社用携帯をどこに置き忘れたのか、どこに落としたのかも想定できない事態ともなりかねません。
飲酒をした状態で社用携帯を操作することは、非常に危険なことと認識してください。
社用携帯を紛失した場合のリスク

会社から貸与されている社用携帯を紛失した場合のリスクには、さまざまなものがあります。
その中から「個人情報の漏洩」「企業の秘密情報の漏洩」「会社の信用問題」の3つについて、どのようなリスクが考えられるのか解説します。
個人情報の漏えい
社用携帯の中には、電話帳やメールアプリ、LINEなどさまざまな個人情報が保存されています。
電話番号やメールアドレス、LINE IDなどの個人情報は、悪質な人物の手に渡った場合には情報売却の対象とされる可能性があります。こういった個人情報が売却された場合、なりすましメールや他人の名を語った詐欺事件などで悪用される危険性もあります。
個人情報保護法の改正により、個人データの漏えい(またはその恐れ)が発生した場合、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が完全義務化されました。放置すると、企業の社会的信用を失うだけでなく、罰則の対象となる可能性があります。
企業の機密情報の漏えい
紛失した社用携帯がもしもライバル企業の手に渡ってしまった場合には、仮に後日拾い主から返却されたとしても、返却されるまでの間に、社用携帯に保存された企業情報や顧客リスト、顧客との業務上でのやり取りなどの履歴などをコピーされる可能性もあります。
またIT関連に精通した人物であれば、社用携帯を悪用して社内サーバーへアクセスし、社内の機密情報などを流出させることや、企業がサイバー攻撃を受ける危険性も考えられます。
会社の信用問題
社用携帯に保存されていた顧客情報や取引先のアドレスなどが悪用されたことが発覚した場合、会社の社会的信用の失墜につながります。
取引先からの取引停止、損害賠償請求、メディアでの報道によるブランドイメージの大幅な低下など、顧客や取引先から受ける信用の失墜は、企業の存続に関わるほどのダメージになる場合もあります。
社用携帯を紛失した場合の対応【従業員】
ここでは、社用携帯を紛失した従業員が行うべき対応について解説します。
紛失した従業員は、焦りから「自分で探してから報告しよう」と考えがちですが、迅速な初動対応が重要です。
紛失に気づいた際、大前提として守らなければならないのは「必ず自社で定められた紛失対応ルールに則って行動する」ということです。
まずは会社のルールを確認し、以下の基本的な初動対応を実行してください。
会社へ報告する
紛失が発覚したらすぐに会社へ報告することが重要です。
「怒られるのが怖い」「探せば見つかるかも」という心理から報告が遅れると、その間にデータが抜き取られるリスクが高まります。
紛失を発覚した時点で、紛失した際の窓口や直属の上司へ即時報告しましょう。
紛失した際に報告すべき内容の例は以下をご覧ください。
- 紛失した端末情報
- 紛失発覚日時・場所
- 紛失時の状況・経緯
- 端末のセキュリティ状態(画面ロック有無)
- 内部データのリスク(機密情報の有無)
紛失の可能性がある場所へ問い合わせる
利用した交通機関や店舗、遺失物センターに社用携帯が届いていないか問い合わせましょう。
最後に端末を触ったのはいつか、自分の行動を振り返り、覚えている限りの行動履歴をもとに詳細な情報を伝えると捜索がスムーズになります。
最寄りの警察署・交番へ「遺失届」を出す
会社の指示を受けたら、速やかに警察へ遺失届を提出します。受理番号が発行されたら会社へ共有しましょう。
紛失した日時や場所、社用携帯の特徴などの詳細を伝えましょう。
社用携帯を紛失した場合の対応【管理者】
ここからは、社用携帯の紛失の報告を受けた管理者が行うべき対応について解説します。
リモートロック・ワイプ
従業員から紛失の報告を受けたら、管理者は管理画面から対象の端末に対してリモートロックまたはワイプを実行しましょう。
リモートロックとは、端末の画面を強制的にロックし、第三者による操作を一切不可能にする機能です。導入しているMDM製品やOS(iOS・Android)の仕様、および事前の端末設定によっては、画面に「この端末を拾得された方は〇〇-〇〇〇〇までご連絡ください」といった任意のメッセージや連絡先を表示させることも可能です。
リモートワイプとは、端末内のデータ、アプリ、設定をすべて消去し、工場出荷時の状態にリセットする機能です。これにより、顧客の個人情報や社内システムへのアクセス権を物理的に完全に消し去ることができます。
端末の中には機密性の高い情報が保存されていることが多いため、第三者が操作できない状態にすることが重要です。
注意点として、電源が切れている、地下などで圏外になっているなど、電波が届かない場合には「予約状態」になるため、その瞬間にデータは消去されません。
命令は予約され、次に端末の電源が入り、電波が繋がった瞬間に自動でワイプが実行されます。
その上で、GPSを利用して社用携帯の位置情報を確認してください。
社用携帯の電源が切れている状態でも、機種によっては位置情報を調べることができます。
リモートワイプについては以下の記事をご覧ください。
キャリアの紛失・サポート窓口へ連絡
契約している携帯電話会社に連絡し、紛失した社用携帯の利用停止手続きを行いましょう。
第三者による不正な通話やSMS認証の悪用を防ぎます。
個人情報や機密情報の流出確認と報告
社用携帯に、顧客情報や企業に関連する情報が保存されていた場合には、情報に関連する全ての顧客や関係先への報告を速やかに行ってください。
この報告をする前に、情報の漏えいや流出が明るみに出た場合には、企業が受ける損失と信用低下は取り返しのつかないものとなりかねません。
情報開示と謝罪
大手企業など、顧客数や取引先が膨大な数で、連絡や謝罪が間に合わない場合には、ホームページでの掲載やメールなどを使って、情報を開示してください。
ホームページ上に謝罪や情報開示を行う際には、事態の詳細な情報と、漏えいした可能性のある情報の詳しい内容、顧客情報の数などを正確に明記し、顧客や関係先への情報開示と謝罪をしましょう。
こういった事態が起こった際、企業によっては、問い合わせに対応するための専用窓口などを開設する企業もあります。
社用携帯の紛失に備えた対策
ではここからは、社用携帯の紛失に備え、事前にとるべき対策として「ルールの策定」「端末設定」「MDMの導入」の3つについて解説します。
ルールの策定
社用携帯を社員に貸与する際には、紛失した際の対処法をルールとして事前に策定しましょう。
紛失時には速やかに連絡できるよう紛失の窓口を定めます。紛失時の連絡・対応フローの周知を徹底することが重要です。
社用携帯の私的な利用を禁止する、退社時には社内の決められた場所へ戻す、社員同士で貸し借りはしないなどのルールを会社として策定しておくことも大切です。
端末設定(OS標準機能の活用)
万が一紛失した場合にそなえて、第三者に中身を見られないよう、端末自体のセキュリティ設定を事前に行っておくことも重要です。代表的な設定として以下の2つが挙げられます。
パスコード・生体認証の設定
端末を起動・解除する際に、必ずパスコードの入力や顔認証・指紋認証を求める設定です。
他者による不正操作を防ぐことができます。
位置情報サービス(GPS)の常時オン
紛失時に端末の所在地を特定できるよう、位置情報サービスは常に有効にしておきます。なお、機種や設定によっては「電源オフ直前の位置情報」を記録できるものもあります。
MDM(モバイルデバイス管理)の導入
MDM(Mobile Device Management)とは、モバイルデバイスを一元管理できるシステムのことです。
上記のようなルールや従業員の意識だけに頼る管理には限界があります。
ビジネスシーンにおいてスマートフォンやタブレットの活用が当たり前になった今、企業のセキュリティを守るためには、システムで強制的に一元管理するMDMの導入が必須といえます。
MDMでできる機能の一例は以下の通りです。
リモートロック・ワイプ
紛失が発覚した際、MDMの管理画面から遠隔操作で端末をロックしたり、端末内のデータを工場出荷時の状態に消去したりできます。企業の管理者が一括して確実に実行できるため、情報漏えいを防ぐことが可能です。
端末利用状況の把握と可視化
遠隔地からでも各端末の利用状況をリアルタイムで把握できます。
社用携帯が適切に使われているか、社内規定に反する利用がないかなどを管理者がチェックできるため、日常的な不正利用の抑止力になります。
アプリの配布・更新および機能制限の一括制御
業務に必要なアプリを一括でインストール・更新できるほか、業務に不要なアプリのダウンロードを制限できます。
また、パスコードの複雑化(英数字の必須化など)や生体認証の利用を強制することも可能です。
社用携帯の紛失対応はコネクシオにお任せください
「MDMを導入したものの、夜間や休日に従業員が紛失した際、情シスの担当者が即座に対応できない」という課題を抱える企業は少なくありません。
そこでおすすめなのがコネクシオのマネージドモバイルサービスの活用です。
マネージドモバイルサービスとは、導入前のコンサルティングからキッティング、独自の運用ルールに基づく判断まで、デバイスのライフサイクルをトータルで支援するサービスです。
紛失時は24時間365日対応可能なため、夜間・休日の紛失時にも担当者に代わり、即座にリモートロック等のセキュリティ措置を講じることができます。
担当者は突発的な紛失対応の負担から解放され、自身の業務に集中することができます。
まとめ

会社は社用携帯を貸与するにあたり「紛失するかもしれない」「戻ってこないかもしれない」という心構えを持ち、万が一に備えて準備しておくことが大切です。
今回この記事では、社用携帯を社員が紛失した場合の対応方法と、紛失に備えた対策や使用する上でのルール策定について解説しました。
社用携帯は企業にとって、顧客情報や秘匿情報、取引先との履歴などが詰まったとても重要なツールです。
これを紛失することは、企業にとって大きなダメージとなります。保存された顧客情報などが悪意のある第三者にわたり利用されると、顧客や取引先へ大きな損害を与えることにもなりかねません。
「紛失が発生したときにはもう見つからない」
貸与する側もされる側も常日頃からこう認識するべきでしょう。
そして紛失した際の情報漏えいを未然に防ぐためにも、MDMやマネージドモバイルサービスなどの活用も含めたセキュリティ対策を万全に行っていくことも大切でしょう。
















