ゼロタッチとは?キッティングとの違いやメリット・デメリットを解説

「モバイルデバイスの設定にゼロタッチを使うと便利と聞いたけど、どんな機能なの?」
「デバイスの設定を自動化できるって、何もしなくても使えるようになるの?」
企業のIT担当を務めるなかで、上記のような疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。
モバイルデバイスの初期設定(キッティング)は、膨大な時間と手間を要する業務の一つです。
ゼロタッチを導入すれば、デバイスの初期設定にかかる時間や手間を大幅に削減できます。
本記事では「ゼロタッチとは?」をテーマに、仕組みやメリット・デメリットを解説します。
通常のキッティングとの違いも解説しますので、モバイルデバイス導入時の業務効率化にぜひお役立てください。
ゼロタッチとは

ゼロタッチとは、デバイスの設定や管理・運用など、手作業を必要とする項目を自動で行う機能です。
デバイスが利用者の手に渡り、アクティベートされるとすぐに利用できます。
あらかじめ社内向けに設定された状態を従業員に割り当てるとイメージしておきましょう。
正式名称は「ゼロタッチプロビジョニング」で、Android、iOS、Windowsでは以下の機能が提供されています。
Android | Android Zero-touch Enrollment |
|---|---|
iOS/iPadOS/macOS | Apple Business Manager (ABM) |
Windows | Windows Autopilot |
デバイスを設定する担当者が業務の進行をスムーズに行いたいなら、ゼロタッチの活用を検討してみましょう。
ゼロタッチによるキッティングと通常のキッティングの違い
ゼロタッチによるキッティングと通常のキッティングを比較しました。
ゼロタッチによるキッティング | 通常のキッティング | |
|---|---|---|
対象台数 | 設定したいすべてのデバイス | 1台ずつ |
作業方法 | クラウド経由で自動設定 | 手作業による設定 |
特徴 | キッティング作業を自動化できるため、従業員はすぐに使用できる | 1台ずつ手作業で設定するため、個別の複雑な調整も可能だが、時間と手間を要する |
ゼロタッチと通常のキッティングの大きな違いは、設定にかかる時間です。
ゼロタッチを利用すればデバイスの設定を自動で進められるため、通常のキッティングと比較して手間や時間がかかりません。
特に通常のキッティングは1台ずつ設定しなければならないため、大幅な時間の削減につながるでしょう。
また、ゼロタッチキッティングで設定が完了すれば、社用携帯の配布後にすぐ従業員が利用できます。
ただし、通常のキッティングは個別の設定が可能です。
デバイスごとに複雑な設定が必要であれば、通常のキッティングが適する場面があることも理解しておくとよいでしょう。
ゼロタッチの仕組み
ゼロタッチの利用を考えているなら、実際の仕組みについても理解しておきましょう。
ここからは具体的な手順や項目について、詳しく解説します。
プロファイルを作成する
ゼロタッチでの自動設定には、事前にプロファイルを作成しておく必要があります。
プロファイルの作成は、デバイスの管理者が実施することが一般的です。
なお、プロファイルとは設定情報やセキュリティポリシーなど「各デバイスの設定の大元となるファイル」のことを指します。
プロファイルに含まれる主な内容は、以下の通りです。
- ソフトウェアのインストール
- 設定変更
- セキュリティパッチの適用
ゼロタッチは、デバイスがネットワークに接続された時点で自動的に管理サーバーやクラウドプラットフォームとの通信を開始します。
そのため、利用するにはプロファイルの事前作成が欠かせません。
プロファイルを適用する
プロファイルの作成ができたら、適用させるための手順を進めましょう。
プロファイルの適用は、使用者が電源を入れてアクティベートしたタイミングで開始されます。
電源投入やアクティベートをしなければ、設定完了とならない点には十分注意しましょう。
プロファイルが適用されると、各デバイスの設定が自動で進みます。
運用・管理にも仕組みを活用できる
ゼロタッチの活用は、初期設定時だけではありません。
運用中のデバイス管理においても、設定変更やアップデート用のプロファイルを作成・適用することで、リモートでの一元管理が可能です。
これにより、業務の効率化につながります。
ゼロタッチを利用するメリット

ゼロタッチの利用を考えているなら、メリットについても理解しておきましょう。
ここでは具体的なメリットとして、4つの内容をご紹介します。
デバイスの設定に時間を取られない
ゼロタッチを利用することで、デバイスの設定に時間を取られなくなります。
利用者がデバイスの電源を入れインターネットに接続するだけで、プロファイルが自動で適用されるためです。
これにより、手作業では膨大な工数を要した工程からIT担当者は解放され、本来注力すべきコア業務に専念できるようになります。
人的リソースの削減によりコストを軽減できる
ゼロタッチの導入により、人件費をはじめとするコストを削減できます。
設定の自動化により、時間や人手の確保が必要なくなるためです。
また、デバイスの作業場所の確保が必要ないため、維持や管理のコストも抑えられます。
このようなメリットが得られるのも、ゼロタッチならではのポイントです。
システムが対応することで人的ミスを削減できる
ゼロタッチで設定をする場合、手動での設定で起こりがちな人的ミスを軽減できます。
ゼロタッチは、事前に定義されたプロファイルに基づき自動で設定を行うため、設定の漏れや誤りがほとんど発生しません。
仮に手動の設定で設定漏れが発生すると、本来想定していた使い方ができなかったり、必要なアプリがインストールされていなかったりする可能性があります。
確実に安定した設定をしたいと考えているなら、ゼロタッチの導入を検討するとよいでしょう。
大規模なデバイス運用環境でも対応できる
導入するデバイス数が多い場合、初期設定を自動化できる「ゼロタッチ」の導入が推奨されます。
多台数の設定を手動で行う場合、設定の抜けや漏れといった人為的ミスが発生するリスクが避けられません。
ゼロタッチであれば決められた設定を自動で適用させられるため、全デバイスの設定を漏れなく行えることに加えて、数千台規模の展開も実施できます。
ゼロタッチを利用するデメリット
ゼロタッチの利用を考えているなら、デメリットについても知っておきましょう。
ここからは想定される4つのデメリットについてご紹介します。
導入時の初期設定が複雑になる
ゼロタッチは、導入時に複雑な初期設定が必要になる場合があります。
特に自社の設定をすべて反映させたい場合は、業務内容とITシステムの両方に精通した人材が必要です。
知識の乏しい状態で、無理して導入すると設定がうまくいかない恐れがあります。
既存のシステムと統合するケースでは、より複雑な設定が必要になる可能性も否めません。
社内での対応が難しい場合は、費用が掛かることを前提にして「専門知識のある人材を採用する」「外注先に依頼する」などを検討するとよいでしょう。
セキュリティリスクが伴う可能性がある
ゼロタッチの導入では、一部セキュリティ上のリスクが伴う可能性があります。
ネット環境を利用してデバイスの設定を行う以上、この部分は避けられません。
ゼロタッチを利用する場合、デバイスの設定はすべてネット環境下で行われます。
万が一プロファイルの設計に誤りがあった場合、全デバイスに脆弱性が展開され、深刻なセキュリティインシデントにつながる可能性があります。
セキュリティ上のリスクを避けるには、プロへの委託を検討してみるのも1つの選択肢です。
デバイスの設定が一律になってしまう
ゼロタッチを導入すると、デバイスの設定が一律になってしまいます。
あくまでもプロファイルに設定されている内容で、自動の設定となるためです。
個別の設定や調整を行いたい場合は、ゼロタッチを使わずに設定しなければならないため、注意しましょう。
障害が発生したときの修正が難しくなる
ゼロタッチ内で仮に障害が発生すると、修正が難しくなる可能性があることも覚えておきましょう。
理由としては、自動化されたプロセスの中で不具合が発生すると、予想外の複雑さを伴うことが関係しています。
ゼロタッチ機能は各OSプラットフォームに依存して構築されているため、不具合の内容によっては、OS提供ベンダー側の対応が必要になる場合があります。
最悪の場合を想定し、事前にバックアップやリカバリープランを用意して、緊急事態に備えておくとよいでしょう。
ゼロタッチを使用するとモバイルデバイスの設定がスムーズになる

本記事では、デバイスの初期設定を自動化する「ゼロタッチ」の仕組みやメリット・デメリットを解説しました。
ゼロタッチを活用すれば、IT担当者が一台ずつ手作業で行っていたキッティング作業が不要になり、時間とコストの削減、人的ミスの防止につながります。
特に、大規模なデバイス展開や定期的な入れ替えを行う企業にとって、その効果は絶大です。
一方で、導入時の設定の複雑さや、設定が画一的になるという側面もあります。
自社の運用方針と照らし合わせ、必要であれば専門ベンダーのサポートを受けながら導入を検討してみましょう。
モバイルデバイスの設定・管理はコネクシオにお任せ!
ゼロタッチ機能も含めたモバイルデバイスの設定・管理はコネクシオへお任せください。
コネクシオでは、MDMの構築支援サービスを15年以上提供しています。
ゼロタッチキッティングができる設定構築も可能ですので、専門知識がないご担当者様でも、手軽に最低限のセキュリティポリシーを適用し、モバイルデバイスの標準設定を効率的に構築できます。
また、導入時におけるMDMの構築だけではなく、端末キッティング、保守運用サポートにも対応可能です。
モバイルデバイスの導入・運用に関する課題をお持ちでしたら、ぜひ一度コネクシオへご相談ください。














