ワークライフインテグレーションとは?注目される背景と導入のメリットをご紹介
働き方の多様性が高まっている現代社会において、旧来からのワークライフバランスではなく、「ワークライフインテグレーション」という考え方が重視されるようになってきています。

ワークライフバランスとは何が違うのか?そして、ワークライフインテグレーションの考えを導入するメリットは何なのか?

本記事では、ワークライフインテグレーションの考え方や、導入することのメリットおよび注意事項等について解説します。

目次

ワークライフインテグレーションとは

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ワークライフインテグレーションとは、一言で表現すると「ワークとライフを統合して考える」という概念です。

一般的に、会社で過ごす時間(ワーク)とそれ以外のプライベートな時間(ライフ)は別々に切り分けて考えるものでしたが、ここ最近になって、これらを高度に統合して考えようというものです。

こちらは慶應義塾大学の高橋俊介教授や公益社団法人 経済同友会によって提唱された考え方で、経済同友会が2008年5月9日に発表した資料「21世紀の新しい働き方 『ワーク&ライフ インテグレーション』を目指して」にて言葉として初めて登場しました。同資料においては、以下のように言及されています。

「ワーク&ライフ インテグレーション」とは、会社における働き方と個人の生活を、柔軟に、かつ高い次元で統合し、相互を流動的に運営することによって相乗効果を発揮し、生産性や成長拡大を実現するとともに、生活の質を上げ、充実感と幸福感を得ることを目指すものである。
引用:「21世紀の新しい働き方 『ワーク&ライフ インテグレーション』を目指して」p14

 

なぜワークライフインテグレーションが注目されているのか

ワークライフインテグレーションの提唱そのものは2008年ですが、ここ最近になって注目度が高まっています。

理由としては、2019年の「働き方改革推進法案」を皮切りとした働き方の多様化への対応が考えられます。フレックスタイム・フルフレックス制度や裁量労働制、シニア採用など、多様な働き方を認める機運が大きく高まったことで、ワークとライフを分けない考え方へのハードルも大きく下がることになりました。

さらにその流れを加速させたのが、2020年以降のコロナ禍です。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、リモートワークの導入を進める企業が急増したことから、仕事とプライベートを分断することによる弊害がさらに一般的に知られることになったのです。

このような背景から、ワークライフインテグレーションの考え方はさらに注目されるようになってきました。

 

ワークライフバランスとの違いとは

ちなみに、似たような概念に「ワークライフバランス」があります。こちらは2007年に政府が発表した「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス:WLB)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」に基づいて、5年後・10年後の目標値を設定して推進されてきた概念です。

どちらもワークとライフが共に大事であることを説いた考え方ですが、大きな違いとしては、冒頭にもお伝えしたとおりワークとライフを分けて考えるか否かにあります。

ワークライフバランスはその名の通り「ワークとライフを分けた上で、どちらも犠牲にしないバランスをとる」ことが大事であるという考え方なのに対して、ワークライフインテグレーションは、「ワークとライフは本質的には同じ生活の一部であって、どちらも相乗効果で高めていく」ことが大事であるという考え方になります。

 

 

 

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ワークライフインテグレーションの考えを導入するメリット

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続いては、ワークライフインテグレーションの考え方を企業が導入するメリットについてお伝えします。

 

従業員の負担軽減と離職率の低減

ワークライフインテグレーションを導入すると、従業員への過度なワークへの負担が減ることが期待され、また介護や子育てといったライフイベントに対する会社の理解および支援も前提になるので、従業員の負担は間違いなく軽減します。

その結果、従業員のモチベーションは維持・向上され、離職率の低減にも寄与すると言えます。

 

従業員満足度の向上

ワークライフインテグレーションの考え方が導入されると働き方の選択肢が増えることになるので、従業員満足度は相対的に向上することになります。

ライフステージに合わせた働き方の選択はもちろん、正社員に限らない雇用形態ないしは事業等への関わり方なども許容されることが前提になるでしょう。よって、会社にとっての「従業員」の定義も変わってくる可能性があります。

 

生産性の向上

ここまでお伝えしたとおり、ワークライフインテグレーションの考え方を導入すると従業員満足度が向上するので、結果としてワークへの集中力が増し、会社全体の生産性が向上することが期待できます。

 

DE&Iの導入促進


ワークライフインテグレーションは生き方の多様性を認める考え方なので、昨今注目されている「DE&I」(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の導入促進にもつながります。

これまでは「D&I」(ダイバーシティ&インクルージョン)が一般的な呼称だと思われる方も多いかもしれませんが、個人のニーズに合わせて環境を都度最適化し、誰もが公平に機会を享受できるようにするエクイティも重要であるとされてきており、その考え方は本記事のテーマのワークライフインテグレーションとも非常に通じる考え方だと言えるでしょう。

 

企業のレピュテーションの向上

このようにDE&Iにつながるワークライフインテグレーションの考え方を導入することで、企業のレピュテーションも向上することになるでしょう。たとえば「こんなに働きやすい環境だったらぜひ入社したい」と考える優秀な人材が入社意欲を示すなどして、採用ブランディングに貢献することなどが考えられます。

 

ワークライフインテグレーションの考えを導入する際の注意点・デメリット

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一方で、ワークライフインテグレーションの考えを導入する際には注意点もあります。

 

部署によってやりやすい/やりにくいがある

理想としては全ての部署・部門でワークライフインテグレーションの考え方を導入することが望ましいですが、現実問題として難しいケースも多々あります。

たとえば店舗運営をする業態の場合、ワークライフインテグレーションを追求することで店舗を完全オンラインにできるかと言われると、なかなかそうもいきません。

 

マネジメント難度が高い

ワークライフインテグレーションの考え方を導入して、たとえば働き方が多様化すると、その分マネジメント難度が高まります。

たとえばフルフレックス制度が導入された職場の場合、マネジメント担当者はこれまで以上に各メンバーの業務や成果を注視しないと、適切な事業管理ができなくなる可能性があります。

 

評価制度の設計が難しい

働き方の多様性を認めると、評価制度を変える必要があるかもしれません。働き方に応じた偏りがなく公平な評価を下すにはどうしたらいいのか、そしてその評価の仕組みをどのようにして標準的な制度にするかは、非常に難しい事業課題だと言えるでしょう。

 

実際に活かせる従業員ばかりではない

ワークライフインテグレーションの考え方に則った制度を設けても、そのものへの理解がなかなかなされなかったり、先述した店舗の事例のように環境的になかなか活用できない従業員は必ずいるものです。よって、新設した制度に対して社内での活用のグラデーションが大きくなる傾向がある点も注意が必要です。

 

 

ワークライフインテグレーション推進企業による取り組み例

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続いては、ワークライフインテグレーションの考え方を推進するための施策について、2つご紹介します。

 

DE&I研修の実施


まずはDE&Iに関する研修の実施です。全ての従業員がワークとライフを等しく高め、また多様性を持って公平な機会を享受するためには、具体的にどのようなマインドを持つべきなのか。具体的なケーススタディなどで学ばないと想像力を拡張することはなかなか難しいでしょうから、研修を実施して多様性に対するリテラシーを高めることは非常に大切です。

 

 

多拠点勤務が可能な勤務制度の導入

勤務制度を変更するのも良いアプローチでしょう。たとえばさくらインターネット株式会社では、「さぶりこ(Sakura Business and Life Co-Creation)」と呼ばれる働き方の制度を設けており、勤務時間を10分単位でスライドしたり、柔軟な時短勤務の仕組みを整備しています。

 

 

自主性を高めるための取り組みが大切

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ここまでワークライフインテグレーションの考え方について解説してきましたが、最も大切なことは、従業員の自主性が高まるような環境を構築することにあります。

自由な働き方を認めるが故に、業務に対して自分ごとで取り組むような意識となるよう、環境や制度、仕組みを構築する必要があるというわけです。

 

企業の目指すべき姿にマッチした働き方の実現に向けて

SNSなどのコミュニケーションツールの発達によって、様々な働き方の可能性が多くの人に認知されるようになってきています。

だからこそ、ワークライフインテグレーションの考え方を前提にした仕組みや制度を構築しないと、今後、従業員から選ばれない企業になっていく可能性が高いと言えます。

コネクシオでは、企業の目指すべき姿にマッチした働き方を選択し、実現に向けて環境の整備を行えるよう、ノウハウやコンサルソリューションをご用意しております。進め方等でお困りの場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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